あなたがいなくても

僕が作りたいのは思い出だけ。

 

そう思ってたんだけど

「ねえさん」が、来ない日に電話かけてきて

かわってみると

 

「あんちゃん、じゃがいも、植えといて」

と言葉少なに言われ、

無情にも

電話は切られた。

 

 

 

「ねえさん」のいない日

じゃがいもが傷んじゃうよと

職員やご利用者様に心配され

「はよ、植えてこい」と一人

畑に出向いた。

 

かたわらには、じゃがいもたちだけ。

ひとり、クワを入れる。

Youtubeで調べたことと

ねえさんが言っていたことを思い出しながら

ひとり、クワを入れる。

 

そうか、これはきっと

あんちゃん、そろそろ自分でやってみろという

自分に課せられた「自立支援」

巣立ちの時期なのか、などと

卒業式のシーズンだからか

頭の中でずーっと「旅立ちの歌」が流れていた。

 

 

こんな形で種イモを植えた。

 

ねえさんが次に来たら報告しよう、と

勤務表が休みでないことを祈りながら

写真を撮った。

 

 

ねえさん。

ぼくは、ひとりだちします。